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㈡ 特殊関係株主等である内国法人等 に係る特定外国法人の課税の特例(コ

ーポレート・インバージョン対策合 算税制)の改正

1  改正前の制度の概要

⑴ 特殊関係株主等である内国法人に係る特定外 国法人の課税対象金額の益金算入制度(会社単 位の合算課税制度)

 特殊関係内国法人である内国法人の株主(以 下「特殊関係株主等」といいます。)が、組織 再編成等により、軽課税国に所在する外国法人

(以下「特定外国法人」といいます。)を通じて その特殊関係内国法人の株式等の80%以上を間 接保有することとなった場合には、特定外国法 人の所得に相当する金額(以下「適用対象金 額」といいます。)のうち、特殊関係株主等で ある内国法人のその有する株式等に対応する部 分として計算した金額(以下「課税対象金額」

といいます。)をその特殊関係株主等である内 国法人の収益の額とみなして、その所得の金額 の計算上、益金の額に算入することとされてい ます(措法66の 9 の 2 ①)。

 ただし、特定外国法人が独立企業としての実 体を備え、かつ、その本店又は主たる事務所の 所在する国又は地域(以下「本店所在地国」と いいます。)において事業活動を行うことにつ いて十分な経済合理性がある等の所定の基準

(以下「適用除外基準」といいます。)の全てを 満たす事業年度については、会社単位での合算 課税は行われません(措法66の 9 の 2 ③)。

 特定外国法人の判定は、外国子会社合算税制 における特定外国子会社等の判定と同様の方法 により行われます(措法66の 9 の 2 ①、旧措令 39の20の 2 ⑦⑧)ので、上記㈠ 1 ⑴②を参照し てください。また、適用対象金額の計算及び適 用除外基準についても、外国子会社合算税制と 同様の仕組みとなっています(適用除外基準に ついては統括会社に係る部分を除きます。)(措

法66の 9 の 2 ②三・③、措令39の20の 3 、39の 20の 5 )ので、上記㈠ 1 ⑴③及び④を参照して ください。

(注) 特殊関係株主等の種類に応じて、特殊関係 株主等である居住者に係る各年分の所得に対 する所得税及び特殊関係株主等である連結法 人に係る各連結事業年度の連結所得に対する 法人税についても同様の制度が設けられてい ます(措法40の 7 ①③、68の93の 2 ①③)が、

これらの制度の基本的な仕組みは特殊関係株 主等である内国法人に係る特定外国法人の課 税対象金額の益金算入制度と同様ですので、

説明は省略します。

⑵ 特殊関係株主等である内国法人に係る特定外 国法人の部分課税対象金額の益金算入制度(資 産性所得の合算課税制度)

 特定外国法人が、上記⑴の適用除外基準の全 てを満たすことにより上記⑴の会社単位の合算 課税制度が適用されない適用対象金額を有する 場合において、租税特別措置法第66条の 9 の 2 第 4 項各号に規定する特定所得の金額を有する ときは、その特定所得の金額の合計額(以下

「部分適用対象金額」といいます。)のうち、特 殊関係株主等である内国法人のその有する株式 等に対応する部分として計算した金額(その金 額が課税対象金額に相当する金額を超えるとき は、その相当する金額。以下「部分課税対象金 額」といいます。)をその特殊関係株主等であ る内国法人の収益の額とみなして、その所得の 金額の計算上、益金の額に算入することとされ ています(措法66の 9 の 2 ④)。

 ただし、特定外国法人の部分適用対象金額に 係る収入金額が1,000万円以下である場合又は 決算に基づく所得の金額のうちに部分適用対象 金額の占める割合が 5 %以下である場合には、

資産性所得の合算課税は行われません(措法66 の 9 の 2 ⑤)。

(注) 特殊関係株主等の種類に応じて、特殊関係 株主等である居住者に係る各年分の所得に対

する所得税及び特殊関係株主等である連結法 人に係る各連結事業年度の連結所得に対する 法人税についても同様の制度が設けられてい ます(措法40の 7 ④⑤、68の93の 2 ④⑤)が、

これらの制度の基本的な仕組みは特殊関係株 主等である内国法人に係る特定外国法人の部 分課税対象金額の益金算入制度と同様ですの で、説明は省略します。

⑶ 適用除外基準の適用に関する手続要件  適用除外基準に係る適用手続(統括会社に係 る部分を除きます。)(措法66の 9 の 2 ⑦)は、

外国子会社合算税制における適用除外基準に係 る適用手続(措法66の 6 ⑦)と同様ですので、

上記㈠ 1 ⑶を参照してください。

⑷ 特定課税対象金額等を有する特殊関係株主等 である内国法人が受ける剰余金の配当等の額の 益金不算入

 特定課税対象金額を有する特殊関係株主等で ある内国法人が受ける剰余金の配当等の額の益 金不算入措置及び間接特定課税対象金額を有す る特殊関係株主等である内国法人が受ける剰余 金の配当等の額の益金不算入措置(旧措法66の 9 の 4 、措令39の20の 8 )は、外国子会社合算 税制における特定課税対象金額を有する内国法 人が受ける剰余金の配当等の額の益金不算入措 置及び間接特定課税対象金額を有する内国法人 が受ける剰余金の配当等の額の益金不算入措置

(旧措法66の 8 、措令39の19)と同様の仕組み となっていますので、上記㈠ 1 ⑷を参照してく ださい。

2  改正の内容

⑴ 外国関係法人の租税負担割合の基準

 外国子会社合算税制における改正(上記㈠ 2

⑴)と同様に、特定外国法人の判定における外 国関係法人の租税負担割合の基準を「20%以 下」から「20%未満」に変更することとされま した(措令39の20の 2 ⑦二)。

⑵ 適用除外基準の適用に関する手続要件  外国子会社合算税制における改正(上記㈠ 2

⑶)と同様に、適用除外に該当する旨を記載し た書面の添付がない確定申告書の提出があり、

又は適用除外に該当することを明らかにする資 料等を保存していない場合においても、税務署 長がその添付又は保存がなかったことにつきや むを得ない事情があると認めるときは、その書 面及び資料等の提出があった場合に限り、適用 除外基準を適用することができることとされま した(措法66の 9 の 2 ⑧)。

⑶ 外国子会社配当益金不算入制度の改正に伴う 見直し

① 基準所得金額の計算

 本制度における特定外国法人の基準所得金 額の計算は、外国子会社合算税制における特 定外国子会社等の基準所得金額の計算の例に よることとされているため、上記㈠ 2 ⑷①の 改正と同様に、特定外国法人が受ける損金算 入配当等の額(その受ける配当等の額の全部 又は一部が子会社(持株割合25%以上等の要 件を満たす子会社に該当するものに限りま す。)の本店所在地国の法令においてその子 会社の所得の金額の計算上損金の額に算入す ることとされている配当等の額に該当する場 合におけるその受ける配当等の額をいいます。

以下同じです。)については、基準所得金額 の計算上控除する配当等の額から除外するこ ととされるとともに、上記㈠ 2 ⑷②の改正と 同様に、特定外国法人が他の特定外国法人

(持株割合25%以上等の要件を満たす子会社 に該当するものに限ります。)から受ける損 金算入配当等の額が当該他の特定外国法人の 合算対象とされた金額から充てられたもので ある場合には、その損金算入配当等の額は基 準所得金額の計算上控除することとされます

(措令39の20の 3 ①)。

② 特定課税対象金額等を有する特殊関係株主 等である内国法人が受ける剰余金の配当等の 額の益金不算入

 外国子会社合算税制における改正(上記㈠ 2 ⑷③)の改正と同様に、特殊関係株主等で ある内国法人が外国法人から受ける剰余金の 配当等の額で、法人税法第23条の 2 第 2 項の 規定により益金不算入の対象とならない部分 の金額がある場合には、その剰余金の配当等 の額のうちその外国法人に係る特定課税対象 金額に達するまでの金額は、その特殊関係株 主等である内国法人の各事業年度の所得の金 額の計算上、益金の額に算入しないこととさ れました(措法66の 9 の 4 ③)。また、間接 特定課税対象金額を有する特殊関係株主等で ある内国法人が受ける剰余金の配当等の額の 益金不算入措置についても同様の改正が行わ れています(措法66の 9 の 4 ⑨)。

3  適用関係

⑴ 上記2 ⑴の改正は、外国関係法人の平成27年 4 月 1 日以後に開始する事業年度における特定 外国法人の判定について適用し、同日前に開始 した事業年度における判定については従前どお りとされています(改正措令附則36)。

⑵ 上記2 ⑵の改正は、特定外国法人の平成27年 4 月 1 日以後に開始する事業年度に係る適用対 象金額又は部分適用対象金額につき適用除外と する場合について適用されます(改正法附則83

④)。

⑶ 上記2 ⑶②の改正は、内国法人の平成28年 4 月 1 日以後に開始する事業年度において外国法 人から受ける剰余金の配当等の額がある場合に ついて適用し、同日前に開始した事業年度にお いて外国法人から受けた剰余金の配当等の額が ある場合については従前どおりとされています

(改正法附則83⑤)。